「沈黙の次に美しい音」ECMレコードを聴こう!

ジャズと聞いたら、どんな音楽を想像しますか??

楽器の演奏が生みだすファンキーなグルーヴ、プレイヤーによる熱く繰り広げられるセッション。

または落ち着いた雰囲気のバーやレストランでオシャレにかかっている(いまやラーメン屋さんにでも)音楽を想像するのでないでしょうか?

今回はそのようなジャズとはひと味違ったジャズを制作しているECMレコードという音楽レーベルを紹介したいと思います。


ECMレコードについては専門的に研究されているサイトもありますし、すべてのディスクをレビューされている素晴らしいサイトがたくさんあります。

このページでは初心者の方にもECMレコードの素晴らしさを知っていただくためにわかりやすく紹介したいと思います。

ECMレコード(ECM Records)ってなに?

ECMレコードとは、『沈黙の次に美しい音』”The Most Beautiful Sound Next To Silence”を音作りのコンセプトにしている音楽レーベルです。

1969年ドイツ人のマンフレート・アイヒャーによって設立されました。

設立から50年の間、ジャズを中心にフュージョンやフリージャズ、クラシック音楽、中世の古楽、ワールドミュージックなどなど、多数の才能を発掘し、様々なジャンルの音楽をリリースしています。

近年のECMの傾向として、温度感の低い静かなジャズ(静音ジャズとも呼ばれたりします。)が多い印象です。

ジャズといってもクラシックに近い響きを持つものもあります。

また、ジャズの演奏にエレクトロな音を重ねるような先進的なジャズも制作しています。

個人的には最近の静音ジャズ路線のECMの音楽が好みです。(もちろん過去の作品にも名盤はたくさんあります。)

まずはECMレコードの雰囲気を知ってもらうために、ECMオフィシャルのライブ映像を見てみてください。

ECMレコードの音

ECMレコードの音楽はどれも非常に繊細で美しく、深く心を揺さぶられます。

一方で緊張感を感じる演奏やインプロヴィゼーション(即興演奏)によるフリージャズの刺激的な演奏も多くあり、そこもまたECMレコードの魅力かなと思います。

また録音については、音質にかなりこだわりを持って録音され、入念な音響設計がされています。

メインスタジオはノルウェー・オスロのレインボースタジオです。

ただ世界中で録音されており、残響にこだわって大聖堂で録音した作品などもあります。

ECMといえば、リバーブのきいた深い残響が印象的な音作りですが、ここは好き嫌いが分かれるところかもしれません。

僕はこの響きがとても好きです。

しばしば往年のジャズファンにはこれはジャズじゃないと言われたりもしますが、僕のような根強いECMファンがいることも事実です。

またアンビエントミュージックについての書籍を読んでいるとECMレコードとの共通点について語られていることも多いです。

実際にアンビエントミュージックを楽器を使って生音で再現しようとしている作品もあります。

アンビエントミュージックについてはこちら。

極上のリラックス体験。アンビエントミュージックを聴こう!

ECMレコードのアートワーク

音のみならず、アルバムのアートワークが美しいことで定評があります。

一般的なジャズのアルバムジャケットのように人物を撮影しているものは多くなく、抽象的な風景写真やタイポグラフィを前面に使ったデザインなどが使用されています。

ECMは音楽ももちろんアートワークも含めてトータルの完成度が高いです。

洋書ですが、1996年以降のアートワークが収録されている「Windfall Light: The Visual Language of ECM : Edition of Contemporary Music」というECMのジャケット写真集を発売当時思わず買ってしまいました。(6200円!)

美しいアートに感性が刺激され、眺めているだけで美術館に入り込んだような気分になります。

プレミアがついているのか今では手に入りにくくなっているようです。もしどこかで安く売っていたら即買いしましょう。

また日本の書籍でECMカタログというものもあります。こちらも2009年までのディスクが解説とともに網羅されておりオススメです。が、残念ながらこちらも絶版のようです…。

ECMアーティストの紹介

ECMレコードからリリースしたアーティストと言えば、キース・ジャレット、チック・コリア、ゲイリー・バートン、ポール・ブレイ、パット・メセニー、チャーリー・ヘイデンなどなど、軽く挙げただけでもジャズレジェンドがたくさんいます。

ここでは僕が個人的に厳選した美しくリラックスできるECMアーティストとおすすめの音楽を紹介していきます。

 

キース・ジャレット (Keith Jarrette)

ECMといえばこの人!と言っても過言ではないでしょう。

世界屈指のピアニストです。

この人のピアノの音色は滋養と癒しの力を持っていると感じています。

ジャズの歴史の中でもケルン・コンサートなどの名盤をたくさんリリースしています。

どのアルバムも必聴です。

オススメアルバム

The Köln Concert

The Melody At Night, With You

My Foolish Heart

 

マルチン・ボシレフスキ (Marcin Wasilewski)

ポーランド出身のピアニストです。

最近のECMレコードのアーティストの中でもイチオシのアーティストです。

キース・ジャレットとはまた違った美しさを持った音色を奏でます。

今後のECMを引っ張っていく一人だと思います。

オススメアルバム

・January

・Trio

Spark of Life

  

  

ドミニク・ミラー (Dominic Miller)

アルゼンチン出身のギタリスト。

2017年にECMレコードに移籍しました。

元々はスティングのレコーディングやツアーのサポートメンバーとして参加しています。

レオンで有名なスティングの名曲「シェイプ・オブ・マイハート」のギターリフはドミニク・ミラーが考案したそうです。

透明感のあるギターの音色が心を落ち着かせます。

オススメアルバム

・Silent Light

・Absinthe

  

  

ビル・フリゼール (Bill Frisell)

アメリカ出身のギタリスト。

グラミー賞も受賞している大ベテランです。

フォークやカントリーから影響を受けた牧歌的なプレイを聞かせます。

オススメアルバム

・Epistrophy

ニューヨークの名門ジャズクラブ、ヴィレッジヴァンガードでのライブ盤です。

ニューヨークに訪れたときにヴィレッジヴァンガードでビル・フリゼールの演奏を見たのですが、偶然にもその時に録音されていたアルバムです。

そんなこともあり、個人的に思い入れがあるアルバムです。

ライブの空気感をそのままパックしたようなとても柔らかく優しい音色です。

  

トーマス・スタンコ (Tomasz Stanko)

ポーランド出身のトランペッター。

硬質で深みのある音色が特徴的なアーティストです。

トーマス・スタンコのトランペットを聴くと、都会の夜を思い起こさせる音だなと思います。

残念ながら2018年7月29日にお亡くなりになられました。

オススメアルバム

Lontano

Wislawa

   

   

こんな人に聴いてほしい!

・都会の喧騒に疲れてしまった人

・しがらみに巻き込まれてうんざりした気持ちになっている人

・今日くらいは静かに夜を過ごしたい人

・音楽を聴きながら物思いにふけりたい人

まとめ

・ECMレコードとは「沈黙の次に美しい音」をコンセプトのもと音楽を制作しているレーベル。

・録音の音質に並々ならぬこだわりを持ち、芸術的なアートワークでファンを魅了している。

疲れてしまった夜は、テレビを消してキャンドルか間接照明をつけましょう。

静かな部屋で美味しいお酒でも飲みながら、

静寂を追求した音楽に耳を傾け、

音の響きに包まれてリラックスしましょう。

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